Flower Jelly Printer: Slit Injection Printing for Parametrically Designed Flower Jelly

Mako Miyatake, Koya Narumi, Yuji Sekiya, Yoshihiro Kawahara

CHI 2021

論文の概要


背景

▶︎ フラワーゼリーとは,花の形をしたゼリーが透明なゼリーの中に浮かんでいる芸術的なスイーツである.熟練した技術がなければ美しく繊細な形を作ることはできず,かなりの時間と手間がかかるため市販されているものは少ない.


問題

▶︎ 一般に,手作業での調理工程では次のような問題がある.

(1) 柔らかい食材に対して正確に手を動かさなければならない.

(2) 長時間集中力を保たなければならない.

(3) 間違えても修正ややり直しができない.

▶︎ これらの問題を解決する方法としてデジタルファブリケーション技術の導入がある.デジタルファブリケーションツールはすでに様々な食品の調理工程に導入されているが,ゼリーのように柔らかく,冷えて固まるまでに時間のかかる食品の造形には適していない.


提案

▶︎ ゼリーの自動造形を可能にするため,カラーゼリーをベースゼリーに直接注入するスリットインジェクションプリンティング技術とそれを用いたフード3Dプリンタを開発した.
▶︎ デザインスペースを拡張するためフラワーゼリーの形状や構造をデジタルにデザインできる設計ソフトウェアを実装した.
▶︎ ユーザはまず,設計ソフトウェア上で3Dのプレビュー画面を確認しながら好きな形状をデザインし,完成したデザインからプリント時のパスや造形用パーツのデータを生成する.次に,開発したフード3Dプリンタを使用して実際にフラワーゼリーをプリントすることができる.


結果

▶︎ 提案するプリンタを用いて様々な形状のフラワーゼリーを制作可能であることを示した.

▶︎ 初心者と経験者を対象にユーザスタディを実施したところ,手作業では難しい造形をプリンタによって正確にできるようになったことで作製の難易度は下がった.しかし,利便性と引き換えに,作る楽しみや完成した作品への愛着が減ったという意見があった.自動造形の過程を作り手にとってより楽しく特別に思えるようにするのは今後取り組むべき課題である.

今後の展望
▶︎ 色だけでなく,かたさや香りなどの違うゼリーを使うことで,食べる場所によって全く異なる食体験ができるような新しい食品をデザインできる可能性がある.

▶︎ 嚥下機能が低下した人のための食事(嚥下調整食)では,誤嚥のリスクを低下させるためにゲルを使うことが多いため,提案するプリンタを用いることで嚥下調整食のデザインの幅が広がる可能性がある.